サプリメントと 二つの運動プログラム
筋肉を鍛えるレジスタンス運動
まずは筋肉の種類です。筋肉には一般的に〈不随意筋〉という意識的に動かすことのできない筋肉と、〈随意筋〉という自らの意志で動かすことのできる筋肉があります。前者の代表が内臓
などの筋肉、胃や心臓の筋肉です。この筋肉は、トレーニングで直接的に増やしたり減らしたり
できないので、基礎代謝量アップにはあまり関係しません。
一方後者は、いわゆる〈骨格筋〉として骨に付着していて、カラダを運動させる筋肉です。運
動を「司る」筋肉とも言えます。
この筋肉は、負荷をかけてトレーニングで鍛えると、その効果が表われる筋肉であり、基礎代
謝量アップにはこちらを増やしていきます。しかし、ひと口に骨格筋を増やすといっても、実は骨格筋の増やし方にも二通りの考え方が
あるのです。
ひとつは、文字通り「筋肉の総量を増やす」ということ。筋肉は筋線維という細胞の束で構成
されていますから、この方法はつまりこの筋線維の束の本数、細胞数を増やすということです。
筋肉は、運動などの刺激を受けると筋線維の表面が刺激を受け、分裂して線維数を増やしてい
きます。
次にもうひとつは、この筋線維の一本一本を太くして、筋線維の束全体の量(ボリューム)を
アップするという方法です(筋肥大)。実は通常、筋肉を鍛える、筋肉の量を増やすというのは、
主に後者を指します。
筋線維の数が増えるというのは最近わかったことです。やはり、筋線維の束を太くする、これ
が基礎代謝アップ、寝ていてもダイエットできる条件です。
つまり、骨格筋の筋線維の束を増やし、またそれぞれを太くして、結果的に筋線維全体のボリ
ュームアップを行ない、その骨格筋のパワーアップを図ることによって、消費カロリー(つまり
基礎代謝量)を増大させるということが、巡りめぐってダイエットにつながるわけです。
傷つき回復する過程でたんぱく質が大活躍
ウエイトートレーニングなどの無酸素性の乳酸性システムのトレーニングを行なうと、いつたん筋線維には微小な損傷が生じます。これによって、筋線維は、「次にはその負荷に耐えられ
るようにもっと太くなろう」とします。その結果、筋線維の材料であるタンパク質の補給をさ
かんに求めるわけです。
このいったん傷ついた筋肉がタンパク質によって補強されて太くなる過程を、一般に「超回
復」と呼びます。 そこで忘れてはいけないのが、一連の超回復過程に、成長ホルモンが大きく関わっているこ
とです。「筋線維が太くなる」というのはつまり、一種の「成長」にあたります。
成長ホルモンが、傷ついた筋肉をタンパク質(分解されてアミノ酸になった)を利用し超回復
させてより太くするのです。
ちなみにダイエットのために、基礎代謝に関係する骨格筋などの筋肉の、全身に対する割合
を知っておくと、ダイエットがどの程度成功しているかを確認でき、効率の良いカラダづくり
ができます。このカラダづくりの指標となる数値は、体脂肪計などで、自分の体脂肪率を知ると
同時に、体重から体脂肪量を引いた〈LBM(除脂肪体重)〉の数値も知っておくと良いでしよう。
ダイエットと二つの運動
ウォーキングやジョギングのような有酸素運動が体脂肪燃焼に効果的なことはよく知られて
います。しかしセクション3-1のハイブリッドーカーの項やセクション3‐2の最初に述べ
たように、どうしてこの無酸素運動であるレジスタンス運動がダイエットに効果的であると頻
繁にいわれるようになったのでしょうか。
無酸素運動と有酸素運動のそれぞれが、どうダイエット法に有効なのか、さらに筋肉面から
解説しましょう。
二つの運動と二つの筋肉の関係
全身の筋肉のうち、随意筋の代表格である骨格筋は、大きく二つの種類にわけることができ
ます。
2種類の筋肉というのは、
1.速筋(線維)‥白い筋肉(白筋)と呼ばれます。
2.遅筋(線維)‥赤い筋肉(赤筋)と呼ばれます。
白筋は瞬発系の運動で力を発揮するパワー系の筋肉です。
これに対して赤筋は、長時間の運動に適した持久系の筋肉です。
どうして白筋を速筋というのかはその名のとおり、筋肉の収縮速度が速いためです。ATP‐
CP系、あるいは糖質を乳酸に変化させる解糖系などでエネルギー供給を受ける〈無酸素系〉の
レジスタンス運動などにおいて、ハイパワーかつ速い収縮運動を発揮するときに使用されます。
一方、赤筋の別名の遅筋は筋肉がもともと持っている固有の収縮スピードが遅いため、おも
に酸素を取り入れて脂肪と糖質を酸化して得られるエネルギーによって、長時間持続するため
の低強度有酸素運動に使用されます。そのため酸素を運ぶために毛細血管が多く、ヘモグロビ
ンやミオグロビンという酸素運搬役の赤いタンパク質が多いため、筋肉は赤く見えるのです。
といっても、人のカラダはこの二つの筋線維が、単独で各骨格筋をそれぞれ形づくっている
わけではありません。人の骨格筋の中では、この双方が混ざり合っていて、その割合によって個
人の筋肉の性格が違っているのです。
たとえば長距離を走るマラソンランナーなどは確かに赤筋が多く、瞬発力を問われる短距離
選手や投てきの選手などは、白筋が発達しています。
ダイエットでポイントとなるのは、あえてどちらの筋肉かというと赤筋の方ということにな
ります。そもそも赤筋は、ミトコンドリアという脂肪を燃やす細胞内小器官が多くて、脂肪燃焼力は「白筋の二倍以上」という説があるそうです。また、白筋に比べて赤筋のほうが〈DIT反
応〉(食事誘発性体熱産性)が強く、基礎代謝に大きな働きを占めるという研究発表もあります。
それなのに、なぜレジスタンス運動を推奨するか、ということですが、それはつまり、白筋だ
けを鍛える運動と考えがちなレジスタンス運動でも、パワー系の白筋だけではなく、持久系の
赤筋をも鍛えて、赤筋を増やし、その上で基礎代謝を間接的に上げることができるからです。
ダンベル体操のような負担の軽いレジスタンス運動は白筋よりも赤筋が主役となるかもしれ
ません。しかし、このレジスタンス運動(無酸素系)は、筋肉をミクロサイズで破壊するので、そ
の後に起きる超回復現象によって基礎代謝量増大に貢献します。その超回復は何も白筋にだけ
起きるのではなく、赤筋も強くなるのです。 ヽ
レジスタンス運動は、白筋や赤筋を使って体脂肪を直接燃やすという、ダイエット法ではあ
りませんが、じわじわと効いてくるダイエット法、リバウンドをなるべく回避するためのダイ
エット法です。
レジスタンス運動は、二つの筋肉群の増量という結果を生み、基礎代謝量増大に間接的に働
きかけるものだったのです。
一方、エアロビック運動は、長時間走ったり、歩いたりすることで、赤筋を活性化させ、酸素
を取り入れて脂肪を燃焼させながら、直接カロリーや脂肪を消費していく直接的なダイエット
運動ということになります。
ピンク筋で一石二鳥
そしてもう一点、レジスタンス運動が、どうしてダイエットに効果的なのか、その理由を補強
する新説が最近になってまた出てきています。
その理由とは〈ピンク筋〉と呼ばれる中間的な特性を持った筋肉の存在です。
ピンク筋といっても、肉眼で見てピンク色に見えるわけではなくて、白筋と呼ばれる速筋で
ありながら、赤筋と同じように脂肪を酸化させていくエネルギー(有酸素性)によって運動でき
る筋肉のことを指してこう言います。
この筋は、瞬発的パワーと持久的パワーのエネルギー供給源を二つ持つ、とても融通性の高
い筋肉です。ちなみに、この筋は遅筋である赤筋がパワーアップして速筋化しつつあるもので
はないか、という考え方もあります。
ダイエットのエクササイズでは、無酸素系のトレーニング、有酸素系トレーニングの両方に
おいて、このピンク筋が反応するはずなので、いわゆる「一石二鳥」の筋肉と言えます。
さらに最近になって脱共役タンパク質‐3(UCP-3)というタンパク質が、ピンク筋のな
かで多量に発現することがわかりました。UCP’3は「脂肪燃焼タンパク質」で、脂肪を使って
安静時などでも積極的に熱生産をすると考えられています。
つまり、ピンク筋が多ければ、より効率的な減量ができる可能性があると考えられます。
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