倹約遺伝子

肥満に関係する遺伝子には、「その遺伝子が異常だと太りやすいもの」、また「その遺伝子があ
るだけで太りやすいもの」があります。先はどの肥満ホルモン、レプチンの生成やβ3アドレナ

リン受容体のコントロールは、それに関連する遺伝子が異常の場合、肥満を引き起こすという

方でした。

一方、脂肪は生きるためには、不必要な栄養素というわけではありません。それどころかエネ

ルギーの収支バランスのところでも述べたように、食事でとるエネルギーのうちその効率の面

では最高です。同じ重量ならもっとも効率良くエネルギーを生み出すのです。

だからこそ、人間はこの高効率の栄養素を最率先して吸収し、蓄積しようとするのです。

この脂質を積極的に蓄えようとするためのシステムが、たとえばグリセミックインデックス

(G-)値に密接に関係するインスリンであり、摂食を促すホルモン(ニューロペプタイドYと

いいます)で、これらが正常に働かないと、極端な脂質不足になって、昔の食生活なら生命を落

とすことになるかもしれません。

ところが、現代日本では食生活も向上し、よほどのことがないと餓死するような状況は皆無

です。無用とは言いませんが、この体脂肪をため込むシステムの重要性は、今のところ極端に低

くなっています。

環境はこのように変わったのに、脂質を食事でたくさんとるとそのシステムは正常に作動し

ます。するとどうしても肥満しやすくなるわけです。

つまり、このシステムをコントロールする遺伝子が昔は飢餓を防ぐ防波堤になっていたので

すが、今では肥満を引き起こしやすい遺伝子になってしまったわけです。これが最初に述べた、

もう一方の「その遺伝子があるだけで太りやすいもの」ということです。 後者のように、なるべくエネルギーを使わないで、エネルギーの素をため込もうとする遺伝

子を、米国のニールという人が〈エネルギー倹約遺伝子〉ではないか、と仮説を立てました。

実際にそういう遺伝子が今現在「コレに違いない」と決定されているわけではありませんが、

脂質をためるカラダの代謝システムを円滑に動かすホルモンをつくつてコントロールしている遺伝子がおそらくそれなのだろうといわれています。

また、単一のものではなく、レプチンやレプチンの受容体、β3アドレナリン受容体などの異

常が、結果的に倹約遺伝子の役割を発揮するとも考えられています。


Powered by WordPress and NatureFox.